小林リーガル

建設工事における作業手順書作成の重要性と効果

物事を円滑に進めるために、“計画を立てる”ということは大変重要になります。ある程度見通しを立てて行動することで、作業を円滑に進められ、無駄やミスの減少を図ることができます。

建設工事においても例外ではありません。作業の効率化と安全の確保、ミスの減少を図って作業計画を立てます。この時、作成されるのが「作業手順書」という文書です。作業手順書は、建設工事において無理のない業務を正確に、安全に実施するために重要な意味を持っています。

作業手順書に即して作業を実施することで、事故の発生確率を低め、作業員の安全確保に繋がります。また、作業方法を画一化することで作業員間のスキル差を縮小し、建設された建物の質を一定以上に維持することができます。

<作業手順書の項目>

作業手順書に記載する項目は、大きく4つに分けられます。

1.作業順序

もっとも効率的で安全性に配慮した作業順序を記載します。この時、「準備作業」「荷積み作業」「運搬作業」「後始末作業」などの単一作業ごとに順序付けをします。

2.要点

1の作業順序中に挙げた作業の実施に即して、効率的かつ安全に作業を実施するための方法を詳細に記します。

3.危険予知

作業中に発生する恐れのある危険について挙げます。あらかじめ危険を予測しておくことで、後述する安全対策を練ることができ、安全な作業の実施が可能になります。

4.安全対策

3の危険予知で挙げられた、想定される危険への対応策を考えます。

これらの内容は、実際に作業を実施する現場の環境を念頭に置いて考えます。実際の作業現場に則って作成された作業手順書こそ、最大限の効果を発揮します。

作業手順書は、主に作業の指揮を担う作業員が作成します。ただし、作成後は作業に関わる全員で文書の見直しをしましょう。また、作業手順書作成者のみではなく、作業関係者全員が文書の内容を把握しておきましょう。

建設作業において災害が発生した場合、後に作業手順書の不備を指摘される事例が多いと言われています。トラブルを避けるためにも、作業手順書は丁寧に、しっかりと作成しなければなりません。

<効率的な作業手順書作成方法>

いかに作業手順書が重要だといっても、作成に必要以上の時間をかけるわけにはいきません。本来の建設工事業務に専念するためには、最低限の時間で必要な事柄をしっかりと記載した書類を作成しなければなりません。

短時間で記載漏れのない作業手順書を作成するためには、テンプレートを利用しましょう。あらかじめ必要な項目を記載するスペースが設けてあるので、すべて記入すれば漏れが発生しません。自社で記載する必要のない項目がある場合、提供元によっては、テンプレート自体に手を加え、使用することも認められています。自社にあったものを探してみましょう。